世界の歴史4・唐とインド(中公旧版) 読書ノート

中央公論社の「世界の歴史」(旧版)と「日本の歴史」を一冊ずつ交互に読むという一大プロジェクト(どこがだ)、順調に進んで歴史の第4巻「唐とインド」に突入した。

この巻を読んだ人の感想には「読みにくかった」「挫折しそうになった」というのが多いのだが、それも分からないでもない。著者の塚本善隆は中国史の第一人者であると同時に、本物のお坊さんでもある。文章が普通の学者先生とはやや違っているうえ、文語調の熟語を連発するので(内容からいって当然ではあるのだが)、とっつきにくさが生じてしまうのだろう。

冒頭の三国時代のエピソードはゲーム世代の日本人にはおなじみでいい感じなのだが、そのあとの五胡十六国と南北朝は、展開がめまぐるしいうえに斬った殺したの残虐エピソード満載で、はっきり言って無茶の極み。これでドン引き状態になったところに、難解なインド編・仏教編で追い討ちをかけられては、挫折する読者が続出するのも当然だろう。付録の小冊子の座談会で「隋・唐に入るとホッとする」という話が出たので笑ってしまった。

 

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僕の青春そのものと言うべき(それほどでもない)中公文庫旧版。と言いつつ、今回読んだのは昭和36年刊行の全集本の方である。文庫は字が小さくて、ページ数の多い本を一気読みするのはきついのだ。単に年齢のせいとも言う(笑)。

 

 

もっとも、僕は仏教関係の話は嫌いではないし、ちょっと古風な塚本先生の語り口にもハマッたので、すいすいと楽しく読めてしまった。

インドには歴史がない(おいおい)と著者自身が語っているように、この段階では書くネタ自体がほとんどないのだ。だからこの辺は軽く流すという書き方もありだと思う。しかし、やはり仏教(さらにはヒンドゥー教)について語らなければ、一本筋の通った概説書にはならない。本職のお坊さんだけに、仏教話になると記述はノリノリ。さらに隋・唐時代の戦争エピソードに入ると、講談調の筆致が冴えてこれまたノリノリである。

読み終わってみて、五胡十六国と南北朝については相変わらずよく分からない(笑)。後半の唐の繁栄と没落が、やはり今回の圧巻である。インド史のスカスカ具合と、宗教話の詳細さによって、構成バランスが崩れてしまったことも確か。挫折しそうになったら、興味のない部分はすっとばすというのも手であろう。僕自身はこの巻が大好きなんだけど。

 

 

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