パニック症候群で電車に乗れなくなった話

僕は21歳くらいから自律神経失調症で本格的に体調が悪くなり、以後十年間は半死半生という感じですごしていた。

当時はまだ心因性の病気に対する理解がほとんどなかったのである。病院で検査を受けてもどこも悪くないと言われ、医者から「いいかげんにずる休みをやめてはどうだ」と説教までされる始末で、本当になさけなかった。

そこで半ば自棄を起こして、「どこも悪くないけどずる休みしてるんだ」と進んで周囲に言いふらすようにした。するとみんな呆れてしまい、逆に何も言われなくなった。

 

そのうちにパニック症候群(その頃、こんな言葉があったかどうかは知らないが)の症状が出てきて、電車に乗れなくなってしまった。すさまじい動悸に襲われ、息ができなくなって乗っていられないのだ。

あるとき、信濃町から下宿のある恵比寿まで電車で帰ろうとしたのだが、ひと駅で死にそうになって千駄ヶ谷で下車した。本来なら新宿か代々木で山手線に乗り換えて、せいぜい15分くらいの道のりである。そのわずかな時間も乗っていられないのである。

このままでは帰れないし、どうにも仕方がないので歩くことにした。結局、千駄ヶ谷から原宿までたどりついたところで力尽きて、修学旅行の高校生がはしゃぎまわっている中でしばらくへたり込んでいたら、あまりの馬鹿らしさに泣けてきた。それから意を決して再び電車に乗り、残りのふた駅(せいぜい5分くらいなのだが)を死ぬ思いで乗り切って帰ったのだった。

 

それがパニック症候群に襲われた最初の経験だったので、どうということもない話なのだが非常に印象に残っている。

それ以来、今でも電車は苦手である。最近はどうにか乗れるようになったのだが、山手線とか地下鉄とか、ゴミゴミしていて空気の悪い環境は相変わらずきつい。まだ新幹線の方がいくぶん楽である。振動がほとんどなくて清潔で、空調が行き届いているせいか呼吸が楽な気がする。

 

これも二十代の頃のことだが、どうしても新幹線にのって遠出しなくてはならなくなった。新幹線に乗るのはまだいいとしても、恵比寿から東京駅までたどり着くことが至難の技なのだ(これまた、山手線か地下鉄日比谷線でせいぜい15分なんだけど)。

やっぱり歩くしかないだろうと思い、山手線の内側をなるべく最短距離で進むように心がけて、東京駅を目指して歩いたのであった。これは今までの人生でも一番ひどい経験であって、真夏のことで脱水症状になるし足はつるし、新橋の手前あたりで一歩も進めなくなって、マジに死ぬかと思った。

そんな思いをしても、まだ電車に乗るよりはましなんだから、パニック症候群というのは厄介なのである。やはりここでギブアップして山手線に乗ったのだが、新橋から東京までの2分間くらいが実に長かったのだなあ。

 

 

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